小沢健二モノローグ「英語のテスト」(2017/10/5 NHK SONGS)

音楽

2017/10/5にNHK総合テレビで放送された音楽番組「SONGS」。

この日のゲストは小沢健二。

新曲名曲とりまぜて歌う以外に、この番組のために書き下ろしたモノローグ(独白)を4編ほど披露しました。

その三つ目を書き起こしましたので以下からどうぞ。
一つ目→「文化が、町をつくる」
二つ目→「三割増し」
四つ目→「重なり合う二つの姿」

「英語のテスト」

何よりも、身近で、
本当の話をしたい。

よく
「日本人は学校で6年以上も
英語を習うのに、
なぜか英語がしゃべれない」
と 言われる。

僕はよく、人が英語で
妻に話しかけるのを聞くが、
大学まで英語の教育を受けた人が
全然妻と話せなかったりする。

それを見ていて、気がついた。

おそらく
「日本人は何年も学校で
英語を習うのに、
英語がしゃべれない」
という言い方は正しくない。

本当はたぶん
「日本人は何年も学校で
英語を習うからこそ
英語がしゃべれない」
のだと思う。

多くの人にとって英語は、
人と話すための
道具ではなくて、

テストの科目に
なってしまっている。

だから、
英語を喋る状況になると、
自分の学力を
問われている気がして、
ガチガチに緊張して、
ビクビクしてしまうのだと思う。

見ていると、
気のせいかもしれないが、
大学に行かなかった
友人たちには
「英語の成績なんて悪かったから、
間違えても全然平気」
という気楽さを感じる。

一方で、
いわゆる「高学歴組」には、
「ここで発音や文法を
間違えたら、
みんなの前で
大恥をかくことになる」
みたいな緊張感を感じる。

学校のテストは、
間違えるたびに、
百点満点から
減点されていく、
減点法。

テストで点を取るには、
間違えない力が必要。

ところが、
外国語を喋るには、
実は、
間違える力が必要なのだ。

外国語は、間違えながら
トライするもの。

そして、
意味が一つ通じるたびに、
1点1点、
加点法で心が通じていく。

ところが、
「英語の成績が良かったです」組は、
間違えてはだめ、
と思っているから、
正しい言い方を探しているうちに
話すタイミングを逃したり、
間違いが怖くて、
人に話しかけられなかったりする。

彼らは、
間違える力を
失ってしまった。

学校のテストでついた、
間違えてはいけない
という恐怖。

その恐怖から
自由になりたい。

英語だけの話ではない。

この世は結構
減点法ではなくて、
加点法で動いている。

小さな子どものような
間違える力を、持ちたい。

と、僕自身についても、
いつも思う。

■これ以外のモノローグ書き起こしはコチラから。
一つ目→「文化が、町をつくる」
二つ目→「三割増し」/a>
四つ目→
「重なり合う二つの姿」/a>

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