6冊目「下町酒場巡礼」大川 渉/宮前 栄/平岡 海人

1000冊紹介

よくクラスタとか界隈とか言うけれど、呑兵衛にもそんなようなものがある。

「あの店は門仲が有名なんだけど、本店は小岩なんだよねえ」
とか
「最近はあそこに行ってるんだよ」
とか。

そんな話が隣り合った客同士で繰り広げられる。

とっておきのお店。

教えたいけど教えたくない。教えたくないけど酔いにまかせてつい口が滑る。

それは自分自身の中の葛藤だったり、隣り合った顔見知りや少し勇気を出して誘ったお気に入りの子との駆け引きだったり。

巡礼、という言葉からは聖地という言葉を連想するのだけれど、呑兵衛たちにとってはこのとっておきの店が聖地なのかもしれない。

この「聖地」をめぐる冒険というのは本当にキリがない。

キリがないからこそ呑兵衛たちは今日も巡礼を続けるのだろう。実にストイックだ。

この本の目次に目を通した。一軒も訪れたことがない。

如何に自分が冒険していないかを痛感。これらのお店は果たして私にとっての「聖地」になるだろうか。

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