色黒の彼女。

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4月28日。

銀座で呑めや歌えやで午前様になって、酔いどれながら歩いて帰ってきたとき時計の針は午前3時を指していた。いつものことだ。

目が覚めると10時。休みをとって銀行の野暮用を済ませ、家に戻ってきた時、私は愕然とした。

手に入れようと思っていた彼女が秋葉原にはもういないという風の噂。

手に入れられない。そう分かった時、彼女がものすごく愛おしくなってきた。男とは馬鹿なものである。繰り返すまいと分かっているのに繰り返す馬鹿な生き物である。そう、あの日のように。

この気持ちどうしてくれる。馬鹿なのは自分だというのに。後悔先に立たず。そんな時にまた風の噂。

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「彼女、渋谷にいるらしいよ」

気持ちを抑えきれずに私は渋谷へ向かった。電車の中で走った。

電車の中で走りながら私は色黒の彼女のことばかり考えていた。
女性の肌は白がいいと言う声が大勢を占める中で、なぜか今回私はその艶めかしい黒さに魅力を感じていた。

そして渋谷。今日は渋谷で15時。

彼女が待っている方向へ歩く人々は皆ライバルに見えた。
はやく彼女の元へ。はやる気持ち。そしていつにもまして歩くスピードも速くなる。

気がつけば私は建物の二階にいた。色黒の彼女はすでに私の目の前にいた。

そうだ、彼女に似合う服を選んであげないと。裸で連れ出すわけにはいかない。でもできれば好きなときにめくれるヤツがいい。

安っぽいのはよくない。質のいい革が彼女にはお似合いだ。黒もシックでいいけれど、紺にしよう。たまには男の趣味を押しつけたっていいだろう。

そして私は彼女とともにその建物を飛び出した。飛び出して少ししてから彼女の背中が丸出しなことに気がついた。何とかしなければ。

渋谷駅の近くで彼女の背中を守ってくれるもの(守ってくれるが透明なので丸出しは変わらない)と彼女の魅力をいっそう引き立たせるアクセサリーを買ってあげた。

そして彼女を抱きしめながら電車に乗り、家へと戻る。

色黒な彼女の体に映った月はまたいつもとは違った面持ちである。共に歩んでいこう。これからも。

P1030137
P1030137 Photo by tanakamp

あとがき
ヒント:色=16。

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