小沢健二モノローグ「文化が、町をつくる」(2017/10/5 NHK SONGS)

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2017/10/5にNHK総合テレビで放送された音楽番組「SONGS」。

この日のゲストは小沢健二。

新曲名曲とりまぜて歌う以外に、この番組のために書き下ろしたモノローグ(独白)を4編ほど披露しました。

その一つ目を書き起こしましたので以下からどうぞ。
二つ目→「三割増し」
三つ目→「英語のテスト」
四つ目→「重なり合う二つの姿」

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「文化が、町をつくる」

日本中に届く NHKの電波で、
何を届けよう?

やっぱり、
自分に身近な、
本当の話をしよう。

僕の妻は
イギリスとアメリカのハーフで、
息子たちは
日本とアメリカのハーフ。

でも「ハーフ」というのは、
「ハーフムーン」とか
「ハーフサイズのサンドイッチ」
というように、
「半分の」
という意味。

だから、英語人には、
「ハーフの日本人」というと
「半分しか日本人じゃない人」
と聞こえたりする。

いつか「ハーフ」という言葉は、
「ダブル」とか
「デュアル」に、
自然と変わっていくだろう。

うちのダブルの長男は
4歳で、
散歩が大好き。

日本にいるとき、
彼はある、
不思議で、
奇妙な物体の前で
必ず立ち止まる。

その物体の扉が開いていれば、
長男は
嫌がる犬のように
足を踏ん張って、
その場から動かなくなる。

その物体とは、
自動販売機。

彼から見ると、
自販機は
宇宙から降りてきた
ロボットのように、
不思議に光る姿で、
じっと町を見ている。

こんなに国の隅々まで
自販機がある国は、
僕は日本しか知らない。

自販機の中には、
お金や水が入っている。

ニューヨークのブルックリンに、
自販機を置いたら、
次の朝には
丸ごとなくなっている気がする。

一方、日本では、
誰もいない、
盗むのに絶好な山奥でも、
自販機は何年も、
100円玉をため込みながら、
静かに過ごす。

旅行者たちは、驚く。

「お金の入ったロボットが、
国中に立っているなんて、
なんて特殊な国!」と。

日本列島では、
宇宙からやってきた
自販機たちが、
新しいドリンクの
宣伝をしながら、
今日も朝を迎える。

自販機泥棒は
不思議なくらい いない。

そういう日本の社会は、
要するに、
みんなが持っている文化が、
作っている。

人びとの文化は、
町を作る。
都市を作る。

みんなが持っている、
ガラパゴスとも言われる
驚くべき文化が、
驚くべき町を、
都市を作っている。

僕らは今、
その一つ、
渋谷にいる。

渋谷NHK、
101スタジオより、
日本じゅうに、
ソングス、
つまり、
歌たち、
を届けます。

小沢健二です。

■これ以外のモノローグ書き起こしはコチラから。
二つ目→「三割増し」/a>
三つ目→
「英語のテスト」/a>
四つ目→
「重なり合う二つの姿」/a>

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