【書き物】「旅立ちの日~the King side~」

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所持金と装備 …

「そなたは、この国の希望じゃ。そなたが背負った使命は大きい。見事魔王を打ち倒してみせよ」

若い王はそう言って、この国が持っている財力からみれば、なくなったところで痛くもかゆくもない程度の金と装備を「勇者」に渡した。

「勇者」が城を去ったあと、若い王は大臣を呼び出し、耳打ちした。

「やっとこの時がきた。私はようやく解放されるのだ。」大臣が下がったあと、王はそうつぶやいた。

あいつはこの国にいてもらってはこまる。消えてもらわないとこまる。

「勇者」には旅に出てもらい、道半ばで死んでもらう。それが本当の目的だった。

若い王にとって「魔王」はすなわち「勇者」であったのだ。

若い王の思惑通り、勇者は魔王を倒すための徹底的な情報収集を始めた。その情報はすべてこちらが準備したものであった。「勇者」が怪しまないように、細心の注意をはらって、情報を小出しにするよう下々の者達に命じた。

唯一、若い王の思惑通りにいかなかったことがある。「勇者」が旅に出なかったのである。

若い王は後悔した。「情報を与えすぎた。」

そして若い王は国の中に「魔王」がいるという心労・プレッシャーを抱え続け、「勇者」が生涯を終えるよりもずっと早くに死んだ。

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